「ちょっとトイレに行ってきます」
そう言ったきり彼女達は消えた。
さっきまで僕と仲良く話していた2人組みが、トイレに入ったきり消息を絶った。にわかには信じられない事象が今現実に起きている。
彼女達に一体何が起こったのだろうか…混乱した頭の中を整理するために事の顛末を振り返ろう。
スイッチバーという相席居酒屋へ行ってきた
スイッチバーという新進気鋭の相席居酒屋。
そこは従来の相席屋と違い”スタンディング”で”自分のロックオンした相手に突撃できるフリーダムな相席ができるバー”である。
この話を聞いたとき、僕は震えた。
10代の頃では想像もしてなかったレベルで独身街道を突き進む僕にとって、この場所はパラダイス?ユートピア?セブンスヘブン?的なまぁそれっぽい場所じゃないかと。
あふれ出る鼻息を抑えきれなくなった僕は、仲のいい仕事仲間を誘い2人で突撃してきた。
スイッチバー茶屋町店には人が溢れてた
「すごいな…」
洋風な暖簾をくぐると、思わず出たこの言葉。週末、時間は20時くらいだったと思う。
人、人、人!!!
ムスカ大佐の有名すぎるあの言葉が蘇る…それくらい人がゴミゴミしていた。
中ではすでに何人もの男女達がおしゃべりをしたり、ゲーム?的なことをしたりと親交を深めている。
僕たちも早速相席を試みた。
スイッチバーのコツは「遠慮をせずガツガツ突撃すること」
草食系男子はスイッチバーに行かない方がいい。
これをすごく感じた。感じずにはいられなかった。スイッチバーという名の”サバンナ”がそこには広がっていた。
「あ、あの女の子かわi」くらい食い気味で声を掛けに行かない限り、そこに勝機はない。
肉食系男子が目をギンギンギラギラ12,000w光らせ、ドリンクを受け取った女の子たちを一瞬でかっさらっていく。迷いという言葉がまったくそこには見られなかった。
お店に入る前、僕たちの前に並んでいたニィちゃんたちと「協力しましょうねっ」なんて協定を結んでいたはずなのに、まったく悪びれた様子もなく僕らの前で女の子をかっさらった。
人間の闇がそこにはあった…平成で味わう本能寺の変。
気が付くと僕たちは完全に”騒がしい立ち飲みバーで談笑してるおっさん2人”。
かわいい子は光の速さで連れ去られるという状況に全く対処できずにいた。
まさに圧倒的アウェーゲーム。ワールドカップの日本代表はこんな状況で戦っていたのか…
「絶対に妥協はしない」と、鉄のルールを決めたのはよかったものの、これでは何をしにきたのか全くわからない…
僕らは店を出てもう一店舗のほうに向かった。スイッチバーは店舗間での移動がOKなのだ。
スイッチバー東通りに移動したら相席できた!
こちらの店舗は2階構造になっていて、また少し雰囲気が違っている。
ドリンクを受け取り店内をぐるぐる…しかし、ここでも目ぼしい女の子はなかなか見つけられなかった。というよりみんな相席なう。
いよいよこれでは”足腰をただ疲労させに来ただけおっさんズ”になってしまう…と、柱の影に隠れる2人組みを見つけた。
思考より身体が先に動いていた。熱いフライパンを触ってしまったときのあの感じ。時空を超えて気が付けば女の子に話しかけていた。
「まったくスイッチ入ってないんです…一緒にスイッチオンしませんか?」
僕らは女子大生2人と相席に成功した。しかもまぁまぁタイプ。
東通りの奇跡が起きたんだ。
チャラい男2人に横取りされかける
相席できたからといって安心してはいけない。
スイッチバーは「お前のものは俺のもの」とジャイアニズムを身に付けてる感満載のチャラい男がめちゃ多い。
ドリンクを取りに行って元いた場所に帰ろうとしたとき、あろうことか僕たちとマッチング成立したはずの女の子たちがチャラ男に話しかけられている。
「おいゴルァAAA!!!あgぽあいhどいおいほああ」
言葉にならない感情を抑え、ここは大人の対応でなんとか横取りを阻止。
せっかく苦労して手に入れたこのチャンス。逃したくはない。
その後は女子大生との談笑タイム。
楽しかった。本当に楽しかった。
LINEも交換し「今度ケーキ食べに行きましょうね!」なんて…おいおいこれはマジで独身街道からバージンロードに車線変更できたかもしれないぜ!
トイレに行ったきり女子大生が帰ってこない
「ちょっとトイレに行ってきます」
JDの一人がそう言ってトイレに行った。連れの女の子も一緒に行った。そういえば女子って連れション行くもんね。
彼女らがトイレに行っている間、僕らは乾杯をした。
「わざわざ来てよかった」
「この次はどこに行こうか(無論2対2で)」
「妥協しなくてホントよかったな」
「しかしかわいいよな?な?」
高校生が初めて合コンしたときのような、
チェリーボーイだったあの頃に女の子と初めてデートしたときのような、
そんなテンション。
しかし気付けば”騒がしい立ち飲みバーで談笑してるおっさん2人”に戻っていた。
トイレから女の子が帰ってこない。
それなりに人生経験も積んできたし、空気が悪いことくらい感じられる”常識ある大人”に成長したつもりだ。
そんな空気は一切合切流れていなかったと断言できる。
でもトイレから女の子が帰ってこない。
もしかしたら尋常じゃないくらい尿を溜め込んでいたのかもしれない。
にしても帰ってこなさすぎる。琵琶湖くらいの貯水量を誇る膀胱を持っている…わけないし、トイレからどこか異次元にワープしたとしか考えられない。
かれこれしてたら終電の時間のなったので仕方なくお店を出た。
一応LINEを送った。もう何日経っただろう?いまだ既読は付いてない。
彼女達は神隠しにあったんだな。うんうん。きっとそうだ。今頃大きな玉ねぎ頭のおばあさんに名前を奪われて、温泉宿で働かされるんだな。あぁなんてかわいそうだ。
…
何がダメだったか教えてくれ!!
なにがあかんかってんくそぉぉぉぉおおおおおおおお楽しくおしゃべりしてたじゃないかよよよぉぉぉぉおおおおおお
経験者が語るスイッチバー攻略法
迅速な判断で声を掛ける。
ある程度仲良くなったらお店から連れ出す(じゃないと取られるか消える)
草食系はそもそも行かない。
イケメンと行く。
以上。
幸運を祈る!
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